独立行政法人 理化学研究所
ライフサイエンス技術基盤研究センター 構造・合成生物学部門 生命分子制御研究グループ 合成分子生物学研究チーム

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1. 人工塩基対の創製

私たちの研究室では、A-T, G-Cのワトソン・クリック塩基対に加えて、新たな人工塩基対を創製することにより、天然にはない、さらに機能を高めた新規機能性バイオポリマー(核酸、タンパク質)の開発を行っている。

生命の設計図である遺伝情報は、A, G, C, Tの4種類の文字(塩基)を用いてDNA上に記述されている。この4種類の文字が相補的なワトソン・クリック塩基対(A-T, G-C)を形成することで、DNAは二重らせん構造をとる。そして、排他的な塩基対の法則に従ってDNAの情報はmRNAに転写され、さらに、mRNA上の塩基配列は翻訳によりタンパク質中のアミノ酸配列に解読される。mRNA上の3つの塩基の並び(コドン)は、それぞれのアミノ酸の暗号へと変換され、20種類のアミノ酸からなるタンパク質が合成される。

もし、新たな人工塩基対(第5と第6の塩基)を天然のDNAに導入することができれば、従来の4種類の塩基によるコドンの組み合わせ(4x4x4=64とおり)は、6種類の塩基により216通り(6x6x6=216)にまで拡張される。この新たに拡張されたコドンには、多数の人工アミノ酸を割り当てることが可能となり、新規機能性タンパク質の創製に応用できる。また、人工塩基を導入したDNAやRNAにも、新たな機能を持たせることができる。

xy sy bases

当研究室では、2001年に転写で機能する人工塩基対(x-y)の開発、2002年に転写と翻訳で機能する人工塩基対 (s-y) の開発に成功している (Nat. Biotechnol., 2002, 20, 177; Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 2001, 98, 4922)。 その後、複製でも機能する人工塩基対の改良・開発に取り組むとともに(J. Am. Chem. Soc., 2003, 125, 5298)、 機能性コンポーネントを人工塩基対を利用してアプタマー等の核酸分子中に部位特異的に導入することを行っている (Chem. Biol., 2004, 11, 47; Nucleic Acids Res., 2005, 33, e129; J. Am. Chem. Soc., 2005, 127, 17286)

そして、2006年には、複製と転写で機能する疎水性の人工塩基対(Ds-Pa)の開発に成功した。人工塩基Dsは天然型のAやGよりも塩基の形が大きく、人工塩基Paは天然型のTやCよりも小さくなっており、DsとPaで塩基の形があうようになっている(Nat. Methods., 2006, 3, 729-735)

Ds Pa bases